漫画『復讐の毒鼓』 ネタバレ小説ブログ

マンガ「復讐の毒鼓」のネタバレを、小説という形でご紹介させていただいているブログです。

復讐の毒鼓 第61話

「誰に向かってそんな顔してんだテメー。」 勇のあまりにおぞましい表情に一瞬怯んだ七尾だったが、すぐに気持ちを立て直した。 「死ね!」 勇の顔めがけてパンチを繰り出す。だが勇はそんな七尾の動き出しを狙い、あっさりとその手首を掴んだ。 「テッ…テメ…

復讐の毒鼓 第60話

「ちょい待ち。」 下校中の勇を呼び止める。七尾だ。 「オメーらはもう消えな。俺ちんだけで充分そうだ。」 「え?」 勇と一緒にいた内村達に、七尾が言う。状況が飲み込めずにまごつく2人を、七尾は一喝した。 「失せろっつってんだよ!」 「あ…はい…。」 …

復讐の毒鼓 第59話

「夜会おうって言ったじゃん。なんで来たの。」 仁は愛からの電話を受け、すぐさま予備校まで足を運んでいた。 「気になったら我慢出来ない俺っちの性格知ってるっしょ。それにどーせ夜はデリバリーのバイトで時間ねーじゃんよ。」 「まぁね。ど?整備士の塾…

復讐の毒鼓 第58話

「すいません。」 予備校へ通う愛に声を掛ける男がいた。見ると、どこかの学校の制服のようなものを着ている。 「ちょっとお伺いしたいんですけど。」 「はい?」 「この辺に東伸高校ってありますか?」 道聞きだった。きっと最近転校してきたのだろう。普段…

復讐の毒鼓 第57話

「お前こっちだろ。明日な。」 「え?あぁ…。」 軽く挨拶をして帰ろうとした勇だったが、内村の生返事が引っかかる。そういえば先程八木について聞いた時も、どこか心ここに在らずといった感じがしていた。 「内村。」 「え?あ、うん…。」 「なにかあったか…

復讐の毒鼓 第56話

すっかり日が落ち街灯の明かりが浮かび上がる公園で、再び2人は睨み合う。ちょうどその頃学校では、通知を受けた木下がクラス全員に聞き込みをしていた。 「神山秀と同小の人いる?」 しばし待つも、返事はない。 「いないワケ?」 「私…だけど…どうして?」…

復讐の毒鼓 第55話

「僕、今日君と戦うつもりないんだけど?」 八木は勇の挑発に固い姿勢を見せた。 「内村。」 「え…うん?」 「アイツは誰だ?」 「八木健介。親衛隊の8位だ。」 親衛隊員とあれば、やはりこのまま帰す訳にはいかない。勇は未だ地面をのたうち回る臨堂の頭を…

復讐の毒鼓 第54話

『みんなの声』と書かれた投書箱が、泰山高校にある。秀は昨年、この箱へある投書をした。 「神山の投書は、すぐ私の手元に来ました。その内容は、かなり詳細に書かれたナンバーズの内部事情でした。」 「どんな?」 「いくら徴収して、いくら配布しているか…

復讐の毒鼓 第53話

教室にいる近江の携帯が鳴る。呼び出しだ。確認すると、近江はすぐに食堂へ向かった。 ズズズッ…。 「先輩…。」 食堂でカップラーメンを啜る五十嵐に、近江が声を掛ける。五十嵐は麺を頬張りながら、気さくに答えた。 「おー、来たか。お前も食うか?」 「い…

復讐の毒鼓 第52話

「何してるんですか。」 内村に暴行をする臨堂に、後ろから声が掛かる。早乙女だ。 「名前を送っただけなのに、もう呼び出して潰そうとしてるんですか?私はそんなこと言った覚えはありませんよ。」 「あ…それが…。」 「もう行ってください。」 突然の事に状…

復讐の毒鼓 第51話

「どうしたんだ?」 教室で一人右肩を抑えて腕を回す勇に、内村が気付いてすぐに声を掛けた。 「この間どこかで打ったらしい。肩が痛む。」 「なんだって?」 一大事である。(現状ほぼ一人の)主戦力である勇の負傷とは、内村にとっては絶望的な未来を意味す…

復讐の毒鼓 第50話

勇のパンチをこめかみに喰らった男は、白目を剥いて崩れ落ちる。 「どっか一ヶ所でもいいから当てるんだ!」 「あたりめぇだ!」 5対1だったのが、既に戦力は半分以下の2人のみ。男たちは必死に喰らいついた。勇の両側面から同時に攻める。 (ザコ共…。) 対す…

復讐の毒鼓 第49話

(俺たちに太刀打ちできる相手じゃない…。) 3人は皆川の不意打ちを難なく叩き潰した勇の強さに、ただ驚愕していた。 (あのザコが1年の間にまるで怪物だ…。ありえるのか…。) (勝てる喧嘩じゃねぇ。これは…。) 抗いようのない絶望感が、3人の体にまとわりつく。…

復讐の毒鼓 第48話

「急いでんだ。早く終わらせよう。」 勇は言いながら3人に歩み寄る。 「近江は?」 「来ない。」 「アイツ…話がちげえじゃねーか。」 計画通りに動かなかった近江に不満を漏らす親衛隊メンバーに放った勇の一言が、火に油を注ぐ。 「俺に集中しろ。早く片付…

復讐の毒鼓 第47話

「先輩…コイツは裏切り者じゃ…。」 五十嵐が連れてきた近江の顔を見るなり、抗議の声が上がる。早乙女からの通知を受けたばかりの親衛隊メンバーにとっては当然のことだ。 「いや、勘違いだよ。謹慎中だから静かに処理しようと思って、神山の味方のフリして…

復讐の毒鼓 第46話

倉田は勇が皆川と戦った時のことを問い詰めていた。 「監視カメラにお前が映ってた。時間は午後2時。学校にも通ってねぇお前がどーして制服でうろついてんだ。」 (皆川を捕まえるために1日学校をサボったのが吉と出たか…?) カメラの映像をもとにここへ辿り…

復讐の毒鼓 第45話

文芸部の部室に集まった親衛隊メンバー全員に向けて早乙女は話し始めた。 「皆さんよく聞いて下さい。神山は加藤が警察から受けている事情聴取の間を狙って動き出してます。親衛隊の下位はやられて、さらに近江は裏切りました。頭がキレることは間違いないで…

復讐の毒鼓 第44話

男の肩を借りて歩く皆川の痛々しい姿が、刑事達の目に留まる。 「なんだアイツら?喧嘩でもしたんですかね?」 「この辺監視カメラあったか?」 若手刑事曰く、皆川達が出て来た路地には無いが、近くのカメラが見られるとの事だった。倉田は早速カメラの映像…

復讐の毒鼓 第43話

皆川は上段に木刀を構えた。通常、剣道に於いても上段構えとは攻撃重視の構えである。試合などではない路上の喧嘩で、殺意剥き出しの男がとる上段構えから発せられる圧力は並大抵のものではなかった。しかし勇の顔色は変わらない。 「こんな大通りでやるつも…

復讐の毒鼓 第42話

早乙女は売店の一角に2人を座らせると、早速聞き取りを始めた。 「警察に何を聞かれましたか?」 「その…刺されたことで…。」 しどろもどろに答える内村に、早乙女の追求の手は止まらない。 「誰に刺されたんですか?」 「ただ遊んでて…。」 「それは警察用…

復讐の毒鼓 第41話

皆川はカツアゲをしている自分に声を掛けてきた男の顔を見て、目を疑った。 「神山?」 「いい年こいて、ガキ共の金巻き上げて恥ずかしくねーのか。」 揉め出した2人を見て、中学生達はチャンスとばかりに一目散に走り去る。 「あ!…チッ!」 「バカ共が。お…

復讐の毒鼓 第40話

「武器?」 「お前が覚えてるかはわからないが、戦ったヤツらの中に刃物を持ったヤツがいたはずだ。だが親衛隊の中にはいないはずだ。」 近江の話を聞いて勇は、先日までの遠藤や列達との戦いを思い出した。 「なにか訳があるのか?」 「親衛隊は原則として…

復讐の毒鼓 第39話

「おりゃおりゃおりゃぁぁ!」 晴れ渡る空に佐川の怒号と鈍い音が轟く。仁に馬乗りになった佐川は、空いている右手で仁の顔をめった打ちにした。 「オイ、それくらいにしとけ。もうお前の勝ちだ。」 大道寺の一声でようやく佐川が手を止めた。決着だ。 「強…

復讐の毒鼓 第38話

「お前は大体どれ位のレベルだと思ってる?」 勇は、近江が本気で戦った時どのレベルまで通用するかを聞いた。自軍の戦力を把握するのは重要だ。 「12位。」 「12位か。ってことは15位とも張り合えるってことか?」 「あぁ。たぶんな。」 そもそもナンバーズ…

復讐の毒鼓 第37話

「必ずしも全員順番にシメてく必要はないが、抑えておくべき順位のヤツらはいる。例えば15位をシメれば、12位まではみんな大体同じくらいのレベルってことだ。」 近江はファミレスで、勇への説明を続ける。 「15位は誰だ?」 「2年の皆川重五だ。2年の中で1…

復讐の毒鼓 第36話

「学校通ってるヤツのわりにやるじゃねーか。でも退学組の俺っちが負けるわけ…。」 仁は舌戦を交えた喧嘩を楽しもうとしているようだった。しかし右山はそれには応じず、無言で仁の腰目がけてタックルすると、そのまま腰を抱えて投げの体勢に入った。 「おい…

復讐の毒鼓 第35話

「まだですか?」 「もうすぐ来るはずだ。」 決戦の場に一足先に着いていた早乙女は、まだ到着しない相手方に少々焦れていた。仲介役の大道寺が軽くなだめると同時にバイクのエンジン音が近づいてくる。 「おー、お出ましだ。」 相対する両陣営。早乙女が早…

復讐の毒鼓 第34話

「どうしてお前が…?」 思いもかけぬ"神山"の登場に列は、寝起きの顔に水をかけられたような顔になる。まさか陣内が"神山"に負けるなど、微塵も想定していなかったからだ。他の者も同じ想いだった。一同の視線が勇に釘付けになる。 「わざわざ…説明が必要か…

復讐の毒鼓 第33話

刺された傷口から広がる痛みと悪寒が、全身から力を奪う。内村は傷口を手で抑えると、力無くガックリと膝を落として座り込んだ。 「ザコが調子に乗ってんじゃねぇよ。」 内村を刺した男が歪みきった顔で吐き捨てる。堪忍袋の緒が切れた近江が呼び掛けると、…

復讐の毒鼓 第32話

焼却炉からまた鈍い音が響き始める。5人の男達からの暴行を、近江はガードしながら必死に耐えていた。 「やめろ。これ以上は俺も…。」 「これ以上は俺も…なんだ?やるしかねぇってか?勝てると思ってんのか、ボケ。」 近江を見下し、蔑む列の姿勢はブレない…