漫画『復讐の毒鼓』 ネタバレ小説ブログ

マンガ「復讐の毒鼓」のネタバレを、小説という形でご紹介させていただいているブログです。

復讐の毒鼓 第41話

 皆川はカツアゲをしている自分に声を掛けてきた男の顔を見て、目を疑った。

「神山?」

「いい年こいて、ガキ共の金巻き上げて恥ずかしくねーのか。」

 揉め出した2人を見て、中学生達はチャンスとばかりに一目散に走り去る。

「あ!…チッ!」

「バカ共が。おとなしくしてりゃ取られた金取り戻してやったのに。」

 無力な中学生を憐れむ勇の言葉に、皆川が殺意を漲らせる。

「オイオイ、今のはオレの聞き間違いか?それともてめぇ、とち狂ったか?」

「どっちだっていい。どうせお前はひれ伏すことになる。」

 


「そう構えることねぇよ。いくつか聞きたいことがあってな。」

 泰山高校で倉田が内村・南原の取り調べを始めた頃、早乙女達は早々にそれを嗅ぎつけていた。

「警察が?」

「内村が校内で刺されたらしい。今警察と話してる。」

 佐川の報告に不穏なものを感じた早乙女は、即座に動いた。

「警察が帰ったら、みんなを集めて下さい。」

 


 屋上に集まったナンバーズのメンバーを見て、早乙女は変化に気付いた。右手にギプスをはめた遠藤を問う。

「その手はどうしました?」

「あ…ちょっとケガして…。」

「今いないのは?」

「陣内と列、それに在木と前園が病院にいると連絡が来た。」

 右山の報告を聞きながらメンバーを見渡す早乙女の目に、近江の姿が映った。

「顔どうしました?」

「いや、ちょっと運動してて…。」

(コイツら…。)

「16位から20位まで、どこかおかしい。それに内村もだ。なんかニオわねぇか?」

 佐川の言葉と、一部の親衛隊員の怪我。他のメンバーの神妙な面持ち。疑惑が募る。

「3週間…謹慎期間だと言ったはずです。にも関わらず、序列崩しをしようとした者がいるみたいですね。」

「序列崩し?」

「16位から20位まで張り合ったんだろう…。でなきゃ説明がつかん。」

 早乙女の話に佐川が感じた疑問に右山が答える。

「遠藤は自分が事実上20位だと思って参加したはず。」

「なるほどな。」

 早乙女はこの中に皆川がいないことにも気付いたが、連絡の返事がないとの佐川からの報告に、一層怒りを募らせた。

「…なめられたもんですね。」

 早乙女は下の者の1人に、この集まりが終わり次第皆川を捕まえるよう命を下すと、再び近江を問い詰めた。

「近江。顔まで殴られたんですか?」

「いえ、さっき言った通り運動してて…。」

「私の目が節穴だと思ってるんですか。」

 内心肝を冷やしながらも、近江はなんとか取り繕おうとした。だが、やはり早乙女の目を謀るには至らない。近江は早乙女の発する圧力に、ただ黙って固唾を飲んだ。

「週末だからって喧嘩してる奴が何人かいますが、顔に傷はつくらないでください。先生に追求されたら面倒なことになりますから。ようやく1週間が過ぎました。この1週間の過ちはすべて水に流します。その代わり、これから謹慎期間中になにか問題を起こしたのが発覚した場合…。」

 早乙女の雰囲気が急におどろおどろしいものに変わる。人の情けなど微塵も感じられない冷め切った目で続けた早乙女の一言に、その場にいる全員が凍りついた。

「皆殺し…です。」

「内村。南原。」

「はい!」

 早乙女からの突然の呼び掛けに、2人は慌てて返事をする。

「ついて来なさい。」

 

 

復讐の毒鼓 3 (ヒューコミックス)

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