漫画『復讐の毒鼓』 ネタバレ小説ブログ

マンガ「復讐の毒鼓」のネタバレを、小説という形でご紹介させていただいているブログです。

復讐の毒鼓 あとがき

ここまで読んで下さった読者の皆様、当ブログに訪れて下さった皆様、本当にありがとうございます。個人的な趣味について独断と偏見のみで始めた当ブログですが、あれよあれよという間にとうとう終幕を迎えました。 これまで当ブログに小説として書いてきた『…

復讐の毒鼓 第90話(最終話)

この瞬間を、どれ程待ち侘びたか。泰山高校に潜り込んで約3週間、今すぐにでも殴りたい衝動を抑えに抑え込んできた。情報収集のため。敵の戦力を削ぐため。自身に課した抑圧から解き放たれた勇は今、力の限り早乙女を殴り続けている。 もう何発殴っただろう…

復讐の毒鼓 第89話

鈍く重い痛みが、勇の全身にのしかかる。目の前に立つ早乙女の姿がボヤけて重なる。朦朧とする意識の中で、勇は虚空に向かって拳を突き出した。 「とうとう壊れましたか…。何してるんですか?」 「距離感が…ここが…こうで…。」 勇は早乙女の声が聞こえていな…

復讐の毒鼓 第88話

「ぐああっ!」 折られた腕を捻り上げられた一条は、その激痛に呻き声を上げた。 バキィッ! 腕の激痛に気を取られた一条の鼻先に勇のパンチが炸裂した。今度は一条の体が泳ぐ。死に体になった一条の顔面に2発目のパンチが叩き込まれると、彼は地に膝をつい…

復讐の毒鼓 第87話

仁と愛が、大勢のナンバーズを相手に奮戦している。勇は五十嵐を倒すと、導かれるようにその現場へと歩き出した。 現場に現れた勇の姿を確認した数人のナンバーズ達が勇に襲いかかる。正面から鉄パイプを振り下ろそうとする男の手を掴み、肘関節を壊す。その…

復讐の毒鼓 第86話

バキィッ! 二階堂のパンチが仁の顔面を捉えた。 (この大軍の中に強ぇヤツが一人二人紛れてやがる。) それ以外の残りは仁にとっては取るに足らないものだったが、いかんせんこの大軍だ。仁から見ていかに弱かろうとも、この中に紛れている強い者と戦う際には…

復讐の毒鼓 第85話

「雷藤…仁…?」 「レスリングをやってた雷藤…?」 仁の雄叫びに佐川と早乙女の顔色が変わる。レスリング界の麒麟児の名は同年代であることも手伝ってか、不良達の間でも知られていたのだ。仁の素性がようやく理解できた早乙女はすぐさま指示を出した。 「レ…

復讐の毒鼓 第84話

「アイツは…この前俺がヤッたヤツ…。」 仁の登場に佐川が顔色を変える傍らで、早乙女はその招かれざる客を早急に片付けるために武器を取るよう全員に指示した。皆思い思いの武器を取る中、右山が一同の動きを一旦制した。 「ちょっと待ってくれ。」 「どうし…

復讐の毒鼓 第83話

「3年の番だな。息の根止めてやるよ。」 2年生達の番が終わり、いきり立つ3年生達。しかしその3年生達に命を下す前に、早乙女は意にそぐわなかった者の名を呼んだ。 「その前に…南原光良。内村清隆。」 「はい!」 2人は口を揃え、慌てて返事をする。早乙女…

復讐の毒鼓 第82話

水谷検事の元へ呼び出しの電話が入る。受話器を置き、呼び出した部長の元へ訪れるべく立ち上がる水谷の心中は穏やかではなかった。 「部長、お呼びでしょうか。」 検事部長の部屋へ入った水谷の目に留まったのは、一人の見知らぬ男だった。水谷は自分の携帯…

復讐の毒鼓 第81話

2年生の、無防備かつ満身創痍の男への暴力が始まった。これまで喰らった攻撃は160発。そのダメージで既に限界の勇は、たった一発のパンチで膝をついた。 「たった一発でアレかよ。」 「よえーじゃん。」 リンチは彼らにとって、祭だった。祭りの熱に当てられ…

復讐の毒鼓 第80話

「なんの力もない貧乏人が子供を作ることは理解に苦しみます。どうせ産んだところで可愛いのは最初だけで、あとは親同様負け犬になる。」 早乙女は勇の髪を掴み上げて、ひたすらなじり続ける。勇がどれ程睨みつけようとも、人質を取られて手も足も出ない男な…

復讐の毒鼓 第79話

「合コン中ー?」 「雷藤…仁…。」 突然の出現に泡を食う番外に、仁は直球で木下を奪いにかかった。 「わりぃんだけど、あそこにしゃがんでる緑の子、俺っちがお持ち帰りするわー。気に入っちったわ。」 「お前、ここにいるヤツ等見えないのかよ。」 「うん。…

復讐の毒鼓 第78話

午後7時10分。番外の知らせを受けた早乙女は佐川に時間を訊くと、その電話ですぐに指示を出した。 「7時30分まで何の連絡もなければ、木下千佳子は好きにして下さい。写真だけお願いします。」 何の電話だったか問う右山に早乙女が答える。 「番外からです。…

復讐の毒鼓 第77話

「以前私が簡単な命令をすると言いましたね?」 早乙女は呼び寄せた内村に言った。 「はい。だから連れて来ました。」 「そうではなくて、今回の命令だけちゃんとやってくれればいいですから。」 早乙女は静かに、そして冷淡に、一年前と同じ命令を内村に言…

復讐の毒鼓 第76話

持ち主不在の携帯のバイブ音が、教室で鳴っている。席についている他の生徒は、まるで江上など初めから居なかったかのようにそのバイブ音に気を留めることなく授業を受けていた。 江上が電話に出ない。不穏な空気が全身に纏わりつく。仁はアドレス帳から『男…

復讐の毒鼓 第75話

五十嵐は連れてきた江上を、焼却炉の倉庫に乱暴に放り込んだ。 「目の前にこんな御馳走が転がってんのに、そのままにすんのも礼儀じゃねぇしなぁ!」 火山が噴火するかの如く湧き上がる性欲。五十嵐はその本能を抑えようともせず、江上の前でズボンのベルト…

復讐の毒鼓 第74話

泰山高校は男女でクラスが分かれている為、江上や木下のいる3年8組には女子生徒しかいない。五十嵐はその教室の前で1人の女子生徒と話していた。 「木下さんならさっき早退したけど…。」 「マジかよ…。じゃあ江上は?」 「百々?あそこだよ。」 前髪を切り揃…

復讐の毒鼓 第73話

「どうしましたか?驚きましたか?」 暫く無言の勇に早乙女が問い掛けると、ようやく勇が口を開いた。 「お前か。」 「なにがですか?」 「うちに侵入したヤツは。」 早乙女が自分の本名を口にしたことで、勇の疑惑が確信に変わった。だがそれがバレたところ…

復讐の毒鼓 第72話

『その他』の正体を知る者は、ナンバーズの中でも早乙女と木下だけ。つまりその秘密を秀が知っているとなると、その2人のどちらかがバラしたことになる。早乙女が知らせるなどということはない。したがって秀がそれを知っているということは、木下の裏切りを…

復讐の毒鼓 第71話

「あんた通帳どこやった?」 不穏な空気に慌てて帰宅の途につく江上に、木下が声を掛ける。間に合わなかった。 「え…?通帳…?何のこと…?」 一応シラを切ってはみたものの、やはり通用しない。 「ちょっと優しくし過ぎたみたいだね。このままなかったことに…

復讐の毒鼓 第70話

「神山大二郎?顔にしろ名前にしろ田舎臭いですね。どうせ力仕事がなんかでしょう。」 兄が起こした事故に関するファイルを見た早乙女が率直に思った事を躊躇いなく口にすると、急に父親の雰囲気が変わった。 「故人をバカにしてるのか?」 至極真っ当な意見…

復讐の毒鼓 第69話

「でもなんで火曜から木曜の間なんだ?」 「天気予報によると、その日は雨。天気予報を信用してる訳じゃありませんが、3日連続で雨の予報です。1日くらい降るでしょう。」 神山の処刑日をその日に定めた理由を佐川が訊くと、早乙女はそう答えた。それを聞い…

復讐の毒鼓 第68話

「誰だったんだ?言ってみ?」 五十嵐は、昨年ナンバーズ内で秀の味方をした人物について勇に訊いた。だがそれこそ、今勇が喉から手が出る程欲しい情報の一つだった。 「覚えてない。」 「あんだと?」 「去年の事故で記憶が所々抜けている。」 お決まりの記…

復讐の毒鼓 第67話

何処となく趣のある、少し古びた建物の看板には『懐石料理 かつら』とある。この店の入り口から、早乙女は店内へと入っていった。この店の個室の中で一人、手酌をする中年の男がいた。泰山高校の校長だ。校長が神妙な面持ちで今しがた空けた盃をぼんやりと眺…

復讐の毒鼓 第66話

翌朝。リビングのソファで寝落ちしていた勇の視界の霞が徐々にとれてくると、目の前には信じ難い人物が立っていた。秀だ。それだけではない。その後ろには蒸発したはずの母親が、横には亡くなったはずの父親がいる。秀は優しく微笑みながら、勇に手を差し伸…

復讐の毒鼓 第65話

十文字の顔が朱く染まる。仁の剛腕から繰り出されるパンチを浴び続けたその顔は、もはや親でも見分けがつくか疑わしいほど酷く腫れ上がっていた。既に気を失っている十文字をまるでゴミでも捨てるかのように地面に放ると、仁は振り返った。その先には足を折…

復讐の毒鼓 第64話

2人の前に立ちはだかる仁に、十文字がすぐさま絡む。 「どこの誰だか知らねーが、ケガする前にどっか行けや。」 「ヤダって言ったら?」 「雑魚のクセにナメた口利きやがって。」 「やめとけ。相手にすんな。戻るぞ。」 「オメーはムカつかねーのかよ。」 荒…

復讐の毒鼓 第63話

「ごめんなさい。待った?」 先に入店していた勇を気遣う江上に、早速本題に入るよう促す。 「いや。それより話ってなんだ。」 ちょうどその頃近くの公園に場所を移した内村は南原に事の経緯を説明していたのだが、南原はその話を中々飲み込めずにいた。 「…

復讐の毒鼓 第62話

「話聞いたぜ。俺とお前が組むことになるって。」 五十嵐は、屋上に残った一条とタバコを吸いながら話していた。 「早乙女にやられてる時、ガチで殴られてたな。」 「ハハ。演技はダメだな、アイツは。マジで痛かったぜ。」 早乙女は屋上から戻る途中の廊下…