漫画『復讐の毒鼓』 ネタバレ小説ブログ

マンガ「復讐の毒鼓」のネタバレを、小説という形でご紹介させていただいているブログです。

2020-01-01から1年間の記事一覧

復讐の毒鼓 第15話

泰山高校には今、『いじめ・校内暴力摘発・補導週間』ののぼりがかかっている。先の山崎の件を受けての事だ。しかしそんなのぼりなど、暴力を振るう側にとっては何の変哲もないただの風景でしかない。たった今も、暴力を"振るうための"相談がされていた。 「…

復讐の毒鼓 第14話

内村はただ黙って2人の喧嘩を見ていた。今この場で彼にできることなど、何もなかった。 「何やってんだ内村!2人でやりゃこんなカス…。」 「いや、無理だと思う。」 勇の強さを身を以って知る内村である。自分が加勢したところで太刀打ちできる相手ではない…

復讐の毒鼓 第13話

「な…何だと!?テメェこの野郎!」 勇の挑発に南原が激昂する。すかさず内村が止めに入ったが、謹慎が言い渡された直後に勇を焼却炉へ連れ出した男の言葉など、聞くはずもなかった。 南原が内村を見ているタイミングで、勇が目で合図をする。やる気だ。 「オ…

復讐の毒鼓 第12話

「なに止まってんの?」 バイクレースを中断して電話で話す仁の隣に、仲間が停まる。すると仁はポケットの中から1万円を出し、その仲間に渡した。 「ほい、1万。お先〜。」 仁は賭けレースの清算を済ませると、そそくさとその場を去っていった。仲間は狐につ…

復讐の毒鼓 第11話

加藤の闘志はまだ衰えない。上着を脱ぐと、今度こそはと本気で殴りかかった。が、勇はあっさりとそのパンチを捌くと強烈なパンチを浴びせ、加藤をその数メートル後ろにあるフェンスまで吹っ飛ばした。加藤はおびただしい量の鼻血を垂れ流しながらフェンスに…

復讐の毒鼓 第10話

「あの…葬式の手伝い、やらなきゃダメっすか?」 さすがの加藤にも、良心の呵責というものがあるらしい。彼は、自分が原因で自殺した山崎の父親と顔を合わせることに対して及び腰になっていた。 「手伝いをすればパシリの父親はあなたに感謝するでしょう。」…

復讐の毒鼓 第9話

勇は帰宅すると、部屋の壁に仕入れた情報をまとめた。 ・内村清隆…取り込み/まだ不信 ・江上百々…味方 ・山崎 …ピンチ ・屋上は3年が使用/3年9組 右山道夫=副会長が管理 ・不良は各クラス2〜3人 ・情報は全て共有 ・担任の佐藤は始業30秒〜1分前に到着する …

復讐の毒鼓 第8話

山崎への執拗な暴力は、とどまることを知らなかった。 「た…助けて…お…お願いします…。」 山崎はうずくまり、両手を合わせて懇願する。もう視線を合わせることすらできずにいた。 "いじめ自殺"のニュースをよく目にする。山崎は自殺を選ぶほどバカじゃないは…

復讐の毒鼓 第7話

「おっせーな…。」 「殺すつもりかよ。」 教室では、内村の教育ショーを見そびれた南原たちがまだ名残惜しんでいる。そんな折、教室に戻ってた山崎の姿が加藤の目に映った。 「おい、山崎!」 「は…はい。」 「どこ行ってた。」 「え…と…ちょ…ちょっとトイレ…

復讐の毒鼓 第6話

加藤と南原が、焼却炉に向かって歩いている。内村の勇に対する"教育"を見物するためだ。しかし、周辺に二人の姿が見当たらない。 「あなたたち!」 突如、女の声が二人を呼び止めた。 「はい?」 「こんなところで何やってるの?授業始まるわよ。」 「あ…そ…

復讐の毒鼓 第5話

「テメェみてぇな奴はよ、痛い目みなきゃわかんねぇ人間なんだ。だから俺が教育してあげてるわけ。」 内村は勇の髪を鷲掴みにしながら見下したように言う。だが勇はそんな内村に、一つ提案をした。 「今その手を離せば、一発分減らしてやる。」 「は?誰が誰…

復讐の毒鼓 第4話

(叩き伏せるのは簡単だが…。) 今目の前にいる二人など、札付きの不良だった勇にとっては取るに足らない相手だ。お陰様で今しがた、つい無意識に反応してしまった。しかし秀になりすましている今、大勢の前で正体を晒すのはまだ早い。 「なんか文句あんのか?…

復讐の毒鼓 第3話

勇が加藤の給食を取りに行っている間も、山崎はやられ放題だった。果ては反省と称し、食堂の隅でひざまづかされ、両手を挙げたままでいる。晒し者である。食堂にいる生徒達は皆、軽蔑や憐れみの視線を向けていた。 秀が通っていた高校は男女共学だが、校舎は…

復讐の毒鼓 第2話

空いている席を探し歩く勇の足元に、足を伸ばす男がいた。人前で恥をかかせる、典型的な手だ。 (古い手だ…) と思いつつ、勇は派手にコケて見せた。 「おっと〜。」 勇が転ぶ大きな音と共に教室中に沸き起こる嘲笑。散らかった教科書などを拾い集める。ノート…

復讐の毒鼓 第1話

ピッ、ピッ、ピーーーーーーー・・・ 一つの命の終わりを告げる無機質な電子音が、病室に鳴り響いた。 「秀!いやよ!!秀!!!うわあああああああ!!!!」 母親が亡骸にすがりつく傍らで、神山勇はベンチに座って俯きながら、視界に映る色彩を失った世界…